9月27日(木) スエズ運河を通過する一日
午前4時、目覚ましの音で起床。
いきなり4時って何なのよ?
それはね、今日が特別な一日だからです。

スエズ運河を通るのです。

昨日からスエズ湾に入り、夕方にはスエズに到着。
遠目にスエズ運河の端っこが見えていました。
ここで船を停泊させて、今日の朝運河に入ります。
昨日のアナウンスでは、
4時半ごろ錨を上げて出発し、
5時半に運河に入るという予定です。

デッキに上がると、いつもより多くの人がいます。
みんな、わくわくして早起きしたみたいです。
真っ暗な夜の闇の中に、スエズの街と停泊している船の灯りが見えます。
ここは北緯30度。日本だと鹿児島の屋久島あたりの緯度ですが、
少々肌寒く、半袖半ズボンではちょっときついです。
服を取りに部屋に戻る人も見られます。

船は、予定の時刻より遅れて5時過ぎにスタート。
ちょうどその頃、東の大地(シナイ半島)から真っ赤な太陽が昇ります。
その色が素晴らしく、ミュージカル「ライオンキング」の背景に出てくる太陽そのものの色です。これだけでもうデッキ上は興奮状態です。あまりの美しさに、貧血を起こして倒れる人もいます。(実際は寝不足か・・)

スエズ運河、ここからスタート。

スタートはちょっと遅れたものの、なぜか運河には予定通り5時半に突入。
今日は前方のデッキが解放されるので、そこにも人が溢れています。
「スエズ運河通過中」と書いてある看板(スタッフが作成したもの)を手に、写真撮影する姿と、看板(3つしかない)を待つ姿。
若者たちは集団で動画を自撮りしながら、「僕たちはーーーーっ、今―――っ、スエズ運河にーーーっ、はいりましたあーーっ!!」などと叫んでいます。
昨日(運動会翌日)は、若者の姿をほとんど見ませんでしたが、今日はわんさか出てきてます。後で聞いたところ、徹夜して朝を迎えた人も多いとか。
なんで「明日早いから、今夜は早く寝よう。」と思わないのか不思議です。

せっかくだから、撮ってもらいました。

運河は予想していたより広く、幅は300mくらいありそう。
全体として左側(カイロ側)はやや緑が多く、
右側(シナイ半島側)はほとんど砂漠が広がっています。
左側はナイル川の水がありますからね。
ちなみに、運河はすべて海水です。

こちら左岸。
こっちが右岸。

スエズ運河は、水位を調整する水門がありません。
スエズ湾と地中海の水がそのままつながっているのです。
潮の関係で猛烈な水流ができないのだろうかと思いますが。
緩やかな河川くらいの流れだそうです。
鳴門の渦みたいに激しい流れはないということですね。

運河は、途中から2本に分かれており、
スエズから入る船は新運河を行くようです。
少し離れた旧運河には、地中海から入った船が時々見えたりします。
(貨物船がひとつ、同じ方向に動いていた気がするのだが・・理由は不明。)

今日は前方のデッキにずーっといて、運河をしっかり楽しもうと決めています。
でも、多くの人はそこまでの熱意はないようで、しばらくするとデッキはまばらになります。「スエズ運河通過中」の看板も、すぐに使えるくらいです。
時々船内放送で「今、グレートビター湖に入りました。」「もうすぐ運河が2つに分かれます。」「日本エジプト友好の橋がもうすぐ見えてきます。」などとアナウンスがあると、その時だけわんさか人が増えてきます。

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さて、スエズ運河を通過するのに、通行料はいったいいくらかかるでしょうか。
答えは約2000万円だそうです。
その他水先案内人の手当や諸費用を加えると、3000万円くらいになるとか。
この船には約1000人の乗客がいますので、一人あたり3万円がスエズ運河通過費用に使われている計算です。えらい高い額ですが、一人あたりで考えると妥当かもしれません。

渡し船もよく見られます。
この船にも運河通行料が発生するのでしょうか。

船は運河をどんどん進み、左右の風景にも慣れてきます。
それでも、監視塔の中に銃を持った警備員を望遠レンズで確認したり、
走ってる犬や列車を見て喜んだり、
左右の対岸を結ぶ連絡船を見たり、
竜巻を発見したり、
そこそこ楽しめます。

銃持ってる・・・
戦車いる・・・

看板を手に写真を撮りたい人のお手伝いをするのも大切な仕事です。
(いつの間にか仕事になってる・・・)

途中、「日本エジプト友好の橋」の下を通過しました。
この橋は、スエズ運河にかかる唯一の橋で、
アフリカ大陸とユーラシア大陸を結ぶ唯一の橋とも言えます。
日本が橋を建設し、寄贈した形になっています。
橋の下を大型船が通るので、かなり高い橋です。
(いったいどこの企業が建てたのでしょう。)
橋の中央には、エジプトと日本の国旗が掲げられていました。

日本エジプト友好の橋

そういえば、モルディブでは本島と空港の島を結ぶ巨大な橋が建てられていて、
中国資本が入っているという話でした。
そちらは寄贈ではなく貸与の形になっていて、
今後、借金が返済できないと空港や港の管理運営権を譲渡せざるを得ないかも、
という話を聞きました。
今見てる橋は、完全に贈与なんですよね。
日本て、ほんとに人が良いのかもしれません。

でも、どういうわけか橋を通る車の姿は見られませんでした。
運河を横切る連絡船にはたくさんの車が載っているのに、不思議です。
考えられるのは、この橋の通貨料金が高いのではないかということ。
これを知っている人がいましたら、教えて下さい。

船は、無事15時半に運河を抜けました。
そのタイミングで船は汽笛をブオーッと鳴らし、
デッキの人々の中から拍手も湧いてきます。
目の前には再び広い広い海。
地中海です。
地中海という響き、いいですね。

地中海入りました。

ここからは寄港地が多く、陸地の生活も増えてきます。
観光という点では、いよいよここからが本番です。

今日は船内の企画がほとんどない一日で、7階のホールは楽器練習に解放されています。
夕方に1時間ほどうウクレレの練習をして、
宿題のスペイン語日記を書いて、今日も早く寝ます。

運河を通過中は静かだった船も、地中海に出たら揺れが大きくなってきました。

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